ソードフィッシュ

ソードフィッシュ [Blu-ray]

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 コンピュータが映画に登場して以来、ハッキングという行為をいかに見せるか、という戦いが続いている。天才ハッカーが登場して、強固なセキュリティをくぐり抜けてシステムを乗っ取り、インフラを操作したり、機密文書を書き換えたり。映画的なドラマを起こすのに非常に便利な仕組みだ。けど、それって具体的にどういう仕組なのっていう所まで行くと物凄くわかりにくい。わかりにくいし、逆に詳細に説明した所で映画的価値はない。だれも技術的な根拠なんかどうでもいい。そういう分かりにくさをむしろ上手に利用して、映画的ハッキングは分かりやすく行われる。この映画はキューブを組み立てることでそれを行った。酒が入ってちょっとハイになった天才ハッカーであるヒュー・ジャックマンが、怪しげに暗い部屋とマルチモニタでワームを作り出す、という仕組みだ。うん、わかりやすい。
 しかし、コンピュータオタクはツッコミを入れる。シリアスな映画が一変してツッコミ不可避な映画になってしまう…なんだよそれ、なんでキューブ組み立ててワームが作れるんだよ!やめてよ滑稽だよ!!!ハッキングの描写って必要じゃないよね。いわゆる画面を流れる文字列とか、不可解に高速なタイピングとか。そこにおもしろさを求めても仕方ない気がするし、むしろサクッと侵入したっていう事にすれば良いんだと思う。「ッターン!」の1発でいいよ。この際ね。

 それは置いといて、ジョン・トラボルタの大物オーラが半端ない。この絶対死ななそうな感じ。圧倒的といえよう。彼がテロを起こす思想的な部分は、共感する部分もあってここは面白い。はっ、そう考えるとテロリズムってのはハッキングと同様に便利な道具だ。全部クロじゃない所が便利だ。いくつかの命を犠牲に、大きな世界を動かす、そこに正義があって、共感を呼んでしまう所が映画的に面白いところだ。
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