イスラムの論理

イスラム教の論理 (新潮新書)

イスラム教の論理 (新潮新書)

 YouTubeで思想とか宗教関係の動画を観てたら、動画内でオススメされたので読んでみた。イスラム教の敬虔な信徒であればあるほど、経典であるコーランハディースに忠実であればあるほど、現在世界を覆っている民主主義、人権、自由、といった思想と相容れないない存在になる、という事が書かれている。基本的にそれだけなんだけど、あらゆる視点、あらゆる事例、そして具体的なコーラン等からの引用などを交えながら、いかに厳格なイスラム教は全然話が通じない、考え方の違う相手だということが、これでもかと繰り返される!大丈夫なんだろうか、この世界。読めば読むほど共存できない相手のように感じてしまう…。きっと社会と上手く折り合いとつけている「穏健派」の人々が殆どだと思うのだけど…。

 ISIS等に代表されるイスラム過激派なる人々は、我々からみればテロリスト集団なのだけど、イスラム法に則った国、カリフの復活等、理想的である側面があるようだ。しかもこの流れはインターネットという装置によって、世界中で活発化しているという話。仮にISISという個別の組織を壊滅させたところで、一度火がついてしまったその思想は燻り続けるということだ。なぜならISISはある側面、正しく理想的な存在だから。そのフォロワーが延々と生み出される。

 本書には事実だけが淡々と示されていて、例えばイスラムの過激な側面とどう付き合えばよいのかとか、世界平和の為の解決法とか、そういう話は無い。でもそうだよね。だってこれどうしようも無い話じゃん。新興宗教ならともかく、世界三大宗教の一つだもん。人間の歴史の中にあまりに根深く入り込んでる。ただ長い年月が経過していく中で、これほどまでに情報や思想がタイムラグ無くつながる時代になったのは、ここ数十年のこと。このことが、もしかして破滅に転ぶのかもしれないし、世界と折り合いの良き思想を見つけていくのかもしれない。どっちに転ぶか不安すぎる。その不安のせいで最近眠れないのかもしれない。それは嘘だけど。眠れないのは本当。