あれシベ2ってこんな曲だっけ

 友人がエキストラ出演するというのでシベリウス交響曲第2番(以下シベ2)を聴きに行く。やはりシベリウスと言えば交響詩フィンランディア」。特に序曲(以下フィンランディア)。何と言っても金管楽器の映える名曲で、暴力的なまでにエネルギッシュなファンファーレから始まるオープニングは奏者としてもかなりテンションの上がる場面。巨悪が蠢くように迫る。ロシア帝国なのでしょうか。そこから雰囲気の少し変わるDのAllegro moderatoからの裏拍から鋭く叩く様なリズムも最高に格好いいところ。16分の3休んで突っ込むのが物凄く吹きにくいのだけど決まると気持ちが良い。Allegro、Fで序盤のピークを迎えてIから落ち着く木管楽器のメロディも最高。フィンランディア賛歌と呼ばれて歌詞も付いています。ここまで頑張った金管諸君は休息。懐かしい祖国を思い出しつつ温かい晩餐(そんなイメージ)。そして再び朝を迎えて目覚めたフィンランドは、金管によって同じテーマをまた高らかに歌い上げ、ラストの力強いファンファーレによって勝利を掴むのだ!!!

 と、こんな具合にフィンランディアはかなりドラマチックに展開され、なおかつ奏者としてもかなりオイシイ名曲なのです。

 で、長くなったけれど閑話休題してシベ2。…あれ、シベ2ってこんな曲だったけ?というのが聴き終わっての印象。酷い。こりゃ酷い。クラシックに限らず全ての音楽にはテーマやドラマを内包して然るべき、と考えています。そう言う点でフィンランディアは最高。感情の起伏に富んだ名曲。けどもシベ2はあまりそれが感じられない。僕は音楽を聴くときに自然に音楽の情景を描くのだけど、シベ2はドラマの進行を妨げる余計なメロディや和音がちょこちょこ挿入されてきて、一体今どんな場面、感情なのか想像し難い。2楽章などはちょっとイライラしたくらい。3楽章はそれでもかなり素直だった。4楽章に繋がって金管楽器のファンファーレでおおー!っと思ったのもしかし束の間。また感情を揺らがせる妙なメロディで蛇行して、金管のファンファーレに戻す。

 たぶん組み立て方が間違っているのだと思う。イライラしてるのは自分に対してだろう。もうちょっと上手いドラマの進行シナリオが無いものかな。

 ところで散々書いたけど、本当はシベ2に対してはもっと良いイメージを持ってたんだけどな。奏者としての耳とそうじゃない耳は違うらしい。1年前に楽器を辞めてから聴き専になったけど、それでかな。シベ2に対するイメージが違ったのは。奏者は自分の出番のあるポイント、点だけで良い曲だ!と思うから(少なくとも自分は)。

■参考リンク