あの日、欲望の大地で

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 母親の不倫と不倫相手の息子との恋、その間に出来た娘とそれらを捨ててきた現在の生活、追いかけてきた過去…と様々な時間軸と状況が次々と入れ替わってゆく非常に複雑なストーリーラインを持った作品。しかし構成は複雑でも、順に観ていくと人間関係と状況がキチンと掴める非常に巧みな作りになっている。
 劇場においてあった本作のチラシに載っていた萬田久子さんのコメント

人生経験を重ねた大人の女性にこそ、ラストシーンの少女の台詞が、胸に沁みてくるはずです。

自分は人生経験豊富でも大人の女性でもないが、この台詞にはそれぞれの人間が重ねてきた歳月に価値を与える、簡単だけれども非常に大きな意味を持った一言であったように思う。良いものを観た。