- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2006/11/17
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今更ですが嫌われ松子の一生。下妻物語を過剰にしたような、煌びやかな演出が中島哲也監督っぽくてかなりエンターテインメントになってた。前半は。前半は松子が昇っては堕ち、昇っては堕ちとその不幸っぷりに笑いさえ漏れていたのだけれど、さすがに出所してからの話は悲惨。
何度も「人生終わった」と感じながら不幸の味を舐めながらも愛によって何度も立ち上がり、何度も倒れる。結局男性から愛される事を求めていた松子を最後まで案じていたのは皮肉にも友人と家族。もしかして中島監督は恋愛をあまり美しく描きたがらないのかな?下妻も友情物語だったし。
人間の価値てさ、人に何をして貰ったかじゃないよね、
人に何をしてあげたかってことだよね。
やはりこの台詞が印象的で作品を支配している。酷い仕打ちを受けながらも、男性に尽くす松子。「人に何かをしてあげたか」という意味で松子は価値は尊い。その証拠にラストで松子と関わった人々が同じ歌を歌い、松子を思い出す。確実に松子は何かを残した。そして不幸のどん底を味わった松子は神様になる。せめてものの救いか。でも松子の心は不幸な気持ちで一杯だったのかも。だとしたら果たして人間の価値は本人にとってどれほどの意味を持つのかな。
本人にとっての意味については置いておくとして、この「人間の価値」を語る上で人に何をしてあげたかというのは大きな点だと思う。「人」と言うと範囲が狭いように感じるので、置き換えれば「社会」。時々「悔いを残さず死ぬ」ということについて考えるのだけど、やはりそれは自分が生きた事による影響をいかに社会(他人)に残すか、という点だと考えている(出来ればかつ幸福あると良いな)。つまり「社会貢献」。何だか社会貢献なんて言うと、言葉の響きだけが先行して気持ち悪いのだが、詰まるところそれは「仕事をする事」だ。仕事をして賃金を得るというのは、飯を食って生きる方法であると同時に、社会に対して影響を与えた対価を得ること。影響の大小、対価の高低はあるけども。だから労働は人間の価値を高める。
…だんだん言ってることがキモチワルクなってきた*1。やめやめ。閑話休題。
しかし長く自暴自棄だった松子が今一度立ち上がろうとした時に死んでしまう結末はかなり悲惨だった。しかも子供に殺されてしまう残酷ぶり。後味悪い。
それと言うまでも無いけれど中谷美紀の好演が物語を引っ張る作品だった。男や状況が変わる度に、松子というベースは維持しつつもキャラを転々とする様は気持ちが良い。
それと劇団ひとりがとても羨ましいです。