明日、君がいない:ネタバレ含む

 辛口評価で有名な「超映画批評」で97点を取った「明日、君がいない」。冒頭から自殺で始まるこの映画。この自殺が行われた時間「2:37(原題)」から遡って、そこに至るまでの人間関係を描く、という映画。舞台は外国のとある高校だ。(完全な余談だが、海外の高校生ってどうみても日本人のイメージする高校生とはかけ離れているよな…体格の違いとか、学校の仕組みとか…物凄く日本大学っぽい。まぁこの際登場人物の年齢なんて関係ないのだけど。)

 時間軸を逆にして桃華月憚よろしく自殺という結末からスタートするので「自殺にいたる人間関係」を見ていく、という構成になっている。これは何か気持ち悪いものがあって落ち着かない。しかも登場人物はどいつもこいつも問題やコンプレックスを抱えてて、死ぬのはこいつかそいつかと、ハラハラさせられた。みんな次の瞬間には自殺してしまいそうだ。けれど最後にこの物語を落としたのは、名前もまだ紹介されていない女の子だった。唐突に始まる自殺シーンはホント謎だらけ。こいつ誰だっけってくらい名前すら分からなければ、なんで狂ったみたいに泣いているかも不明。もう突き抜けて笑っているように泣いている。その我を失った泣きっぷりが、自ら手首にハサミを突き立てる残酷さを際立たせる。孤独が彼女を死に至らしめたのか?残された人々は何を考え、どうなって行くのか。

 映画が終わって泣いている人が数人いることに気がついた。でもちょっと分からない。どのポイントで泣くのだろう。自殺のシーンだろうか。孤独が彼女を死に至らしめた、誰にも打ち明けられないその寂しさに共感したのだろうか。個人的にはどうしても納得が行かなくて、謎だらけで泣くどころじゃなかった。

 昔友人が言っていたことがある。「僕は一人ぼっちよりも、集団でいるときの方が孤独を感じる」よく分かる。集団の中に一人という状況はより孤独を意識せざるを得ない。この本作の彼女は、集団の極みである学校で、その孤独な感情に限界が来ちゃったのかなぁ…。その友人や、同じような環境の子がみたらグサリと来るかもしれない。監督が親友を失った実体験から制作されているらしいし、フィクションとして捨てられないテーマを持っていると感じた。