「志望動機」の嘘くささについて

 「どうしてこの仕事にしようと思ったの?」と飲みの席等で訪ねられた時、どう答えていいか分からなくなる。採用試験面接の時に言った志望動機そのままでは、明らかに不格好だなと感じるのだ。嘘くさい。ものすごく作られた感じで嘘くさい。何なんだろうか、決して事実をねじ曲げて考えた事じゃない。内定を貰うべく、必死に東京へ通っていたあの頃は、確かに自分の心そのままだった。しかし求めていた内定を得て、実際に仕事を始めてみてどうか。「志望動機」を求められたときに、あの長々とした白々しい文句を言うのが躊躇われる。

 そして先日上司に再度志望動機というものを問われ、採用面接と似たようなことを言ったら「そんなんじゃ情熱が伝わんない」と指摘される。おまけにその人、面接して貰った人なんだよなぁ…曰く採るのやめようと思っていた、と物凄い告白もおまけでされる。情熱うんぬんはともかく、そんな事実は隠しておいて欲しかった…どうしたらいいのさ。

 しかし、このままでは明らかに不格好だし、志望理由をズタボロにされてモチベーション落ちまくり。どうしたらいいのか。あの嘘くさい志望動機はなんだったのか。帰りの電車の中で考えて考えて、家に帰って考えて、寝て起きて考えた。一つ考えついたのは、あの頃の自分は目標を追うことに夢中だったのでは無いかということ。足りない頭と少ない経験で捻り出した志望動機が真実かどうかはともかく、それを信じ込むことで自分の支えにしていたのでは無いか。では改めて志望した理由はなんだったのか?それは「仕事を選んだ理由?直感でしょ?」というところでは無いか。

 つまり就職活動を始めて、そういう職業があるんだってことに気づいて、これがやりたいと思うに至るプロセスに、パッと理屈で説明できる何かは無いんじゃないかと。誰もがそうとは限らないけれど。だからこれがやりたい!って直感的なところから始まって、履歴書に必要になるから、どうして「コレがやりたいのか」という理屈、志望動機を後付けする(そうするほか無い)。ここが嘘くさくなる原因じゃないだろうか。

 ではその「直感です」をそのままにしておいて良いかというと、そうとは言い切れないと思う。やはり具体的な言葉に出来た方が良いのかもしれない、とも思うから。*1そしてそれはこれから見つけて行けば良いと思った。別に志望動機で仕事する訳じゃないしね。そもそも直感を説いていくのに、頭だけで考えて見つかる言葉があれば苦労しない。実際に仕事をしながら、「あぁ、そうだったんだ」って気づくハズ。この仕事をしたいんだ!という直感、軸がブレさえしなければそれでいい。

ここまで書いておいてなんだけど、たぶん仕事を始める前、つまり就職活動の時からその直感が、理屈として解けている人もいるのだろうなとも思う。彼らと自分は何が違うのだろうか。その仕事の実体験が伴っていない志望動機ってのは特に嘘くさくなると思うのだが…。そういう点で考えれば、実体験を通してそれをそのまま仕事にしたい、という人は具体的かつ納得の行く志望理由があるのでは、と思う。

*1:具体的な言葉にしたところで何が出てくるか分からないけど