田中ロミオ:人類は衰退しました

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

人類は衰退しました (ガガガ文庫)

 あなたのすこやかな明日のため、このペンネームをインターネットで検索しないようにしてください。特に平成生まれの方が私のペンネームを検索することは法律で今にも禁じられそうです。ご注意下さい。

 各所の評判が良いのでずっと読みたかったラノベ。あとがきにもR18警告にもあるように、元はエロゲライターらしい。CROSS†CHANNELなんかが有名かと。プレイした事はないけれど、シナリオが良いという噂。その噂に間違いは無いようだ。「人類が衰退を迎え、既に地球は"妖精さん"のもの」というゆるゆるストーリー。というか、最近どうしようも無い設定のラノベばっかり読んでいたので新鮮で素敵。お話自体も流石はシナリオライターという巧みな文章が読める。(主人公である「わたし」には名前すら無い、ということに今気付いた!名前すら持たせず物語を作るこの構成力!)ころころと愛くるしい「妖精さん」や老獪だけどゆるゆるとした祖父とのダイアローグは、言葉は少ないがキャッチボールが上手いので退屈させない。
 また文章の構成力も上手いのだけど、個人的にグサリと来たのは主人公のいわゆる現代っ子っぷり(あえてゆとりとは言わないけど)。

 この分野ではわたしはまだ未熟者なんですから、技術と経験を効率よく吸収して、さっさと知の高速道路に乗って一人前になりたいですし、さっさと知の高速道路に乗って一人前になりたいんです。

あぁ…物凄くよく分かる…!お前は俺か…!思わず同じ事を2度言ってしまいたくなる激情が分からんでも無い。

楽でクリエイティブな仕事下さい」
「小癪な若造発言を…」

みみがいたい。
 そんなわけで設定の新鮮さ、構成力の巧さ、そして現代を反映したキャラクターと、実に様々な要素を持っている何気に深い作品。これは早速2巻を手に入れねばなるまい…!助手君もまだ出てきてないし。