早見裕司:メイド刑事

 「メイドの存在」というものさえ認めてしまえばすんなり読める作品。「メイド」という記号が無闇矢鱈に使われている最近の風潮はウンザリなのだ。何かにつけて、例の白黒ドレスを纏えば「萌え」なんだろ?みたいな感じで押しつけがましい。正直な話、この作品も「メイド」と「刑事」をくっつけたらぶっ飛んでて楽しくないですか?楽しいでしょ?キャッチーでしょ?という意図が主張しすぎている気もしないでは無い。

 ただ読んでみるとあまり記号的な「萌え」を濫用しない落ち着いた雰囲気で、そういう意味では好印象。メイドとして自身をより高めようとする高いプライドが気持ちいい。また安直に萌えを狙った「メイド物」かと思えば、レディース時代の仲間というアツい友情があったりして実は任侠の世界?メイドといえばドジっ娘!という組み合わせが多い中、なかなか面白い設定。

 とはいえなにやら作者のメイドに対する一種の憧憬が透けてしまうような気がしないでもないところが気持ちよくない。いや勝手な妄想なんだけどさ。「メイドかくあるべし!!」という固執があるのだろうか。…俺は見えない敵と戦っているな。

ニキータがなかなかオイシイ役だ。