菅野よう子インタビュー「アニメは最初に発想されたものから抜けることはできません」

菅野よう子 インタビュー/音楽情報サイト:hotexpress
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先日「CMよう子」が発売された菅野さんのインタビューより。

--今、絵の話が出ましたが、菅野さんは以前、アニメでは実写の俳優が見せる表情の機微までは表現できないから、音楽のアプローチも変わってくると仰ってましたよね。

菅野よう子:今は両者は段々近づいてきましたけど、絶対的に違うのは実写だとその場のタレントさんや俳優さんの演技に、脚本も変えうる力がある。けどアニメは最初に発想されたものから抜けることはできません。絵コンテを減らすことはできても急に増やすことはできませんよね。
頭の中で組み立てた以上のものにはならない。っていうのがアニメの宿命で、それだと人生にたくさんあるはずの振り幅がないんですよ。だから如何に音楽でぶっ壊すか。実写だと時々あるんですよね。監督の想像を越える演技だったり、瞬間の風景だったりとか。

一般的なアニメ制作手法だと、アフレコという方法で役者が芝居を付ける。つまり「画面ありき」になってしまうので「脚本も変えうる力」は生まれにくい。勿論生まれにくいだけで無いことは無いのだろうけど。うる星やつらのメガネとかね。そう言う訳で映像を作ってしまうアニメーターが実は役者的な役割を果たしているとも言える。
しかし音楽はその枠組みを改変してしまう力があると信じている。時に言葉より強く刺さるのが音楽ってもんだ。