雪に願うこと

 ロマンスカーで箱根へ行く。乗り継ぎに失敗して新宿で少し待ち、遅刻確定の電車に乗り込んだ。なんとなく特急券買ったけど、なぜか旅館まで手元に残ったままだった。これどこかに見せなくて良かったのだろうか。新幹線のようにどっかに吸い込ませなくて良かったのか…と思ったら、ほんとに回収しないらしい。その代わりに車内を巡回する人が座席のチェックを行なって、チケットとれてないところに座っている人に声をかけるそうな。なるほど。なかなか柔軟にできてるなーと感心。
 ロマンスカーが箱根湯本に着くまでの間、iPhoneに入れておいた「雪に願うこと」を見る。邦画らしい(個人的な感想)動きの少ない地味な心情モノ。あんまりベタベタするようなねちっこいところもなくて好きかも。ばんえい競争をテーマにした人々のドラマ。会社を潰して逃げてきた矢崎学(伊勢谷友介)を中心に、兄や母のこと、馬のこと、そして自分自身のことについて描かれる。主人公の滑舌が悪いのと、いちいち台詞がスカしてて共感を阻害するのがネックだが、家族や馬に関わるストーリーはドラマがしっかりしてて見応えある。また、ばんえい競争についての描写も興味深い。一番すっきりしてないのは主人公の背景とその後のお話か。「二度と顔見せんな!」って喧嘩別れしたのに謝りに行くわけか。一番大変な時に逃げ出して、尻拭いを押し付けて、自分の気持ちの整理がついた所でのこのこ現れると。謝るのはいいけど、そこに何か期待してるのかもって考えると、先への打算が見え隠れしてやっぱ気持ちは良くないな。
 さてロマンスカーが箱根湯本について、3分で乗り換える必要のある箱根登山電車に乗り遅れ、次の電車に乗ったら軽妙なマイクパフォーマンスが始まる。調べると落合さんという名物車掌らしい。うっかり乗り過ごしてよかったぜ。映画を見るのをやめて車内アナウンスを聞いていた。