インターステラー

 インターステラー観てきた。クリストファー・ノーランらしい、ほどよくエンタテインメントでほどよく哲学的なそんな映画。映画っぽい映画。親子の愛で泣けるほど冒頭のシーンに感情移入する暇がなかったけど、宇宙に出てからの映像的表現は素晴らしい。撮影の技術には詳しくないけど、極力CGを使わずアナログ的な表現にこだわったそうだ。どのような事でもできるCGの技術が磨かれれば磨かれるほど、アナログの価値が見直されていく。
 ワームホールブラックホールの表現に踏み込んだ点については、大きな挑戦であったろうと思う。それこそどのような表現でも可能にしたCGを手に入れているからこそ、いい加減なデティールではこの未知の現象を扱えない。例えばファンタジックな表現で誤魔化す事も手段の一つだ。ただこの作品はそれを許さないだろう。それまでの科学に裏打ちされた(ように見えている)緻密なストーリーの中に突如魔法のような手法を用いれば、途端に観客は現実に引き戻される。「そういえばこれって作り話だった」
 でも最後の時間を遡るところはちょっと迷うな。先にも触れたけど、親子関係にそれほど感情移入できる状態じゃなかったから、なるほどそういう仕組みになってたのね!という発見はあっても感動まではいかないかも。そういう意味ではブラックホール突入してからは、ちょっと魔法めいていたかもね。
 スタンリー・キューブリック2001年宇宙の旅を思わせる、超越した微妙にわからない感もありながら、ぎりぎりエンタメ的に「わかるライン」に落としこんでいる所が良いなと思った。とにかく観たことに満足できる映画。