古時計の秘密

 本が好き!で献本頂く。「世界中で最も有名な探偵小説」…って知らんかったw「少女探偵」ナンシーの年齢設定が18歳なのは…少女?日本で少女って言ったら小中学生だよな。アメリカ人の感覚だと、18歳はまだまだ大人に遠いらしい。

 アメリカで昔から子供達に愛されてきた、という本書。ナンシー・ドルーが抜群の行動力と鋭い推理力で事件を解決していく、というお話。
児童文学らしく非常に読みやすく、世界観もクリーン。(強盗に捕まってしまうシーンで、18歳の娘なら当然受けるであろう残酷シーンを期待してしまった俺は汚い大人だ!)勧善懲悪の関係が非常に分かりやすい関係で描かれており、個人的には逆に新鮮。しかしそれというのはどうなんだろうか、個人的には子供に勧められる作品なんだろうか。

 確かに読み易いという意味では児童文学なんだろうけど、ちょっとストーリーとか人間の関係とかチャチな気もする。まず時間軸がご都合主義で気持ち悪い。友人と話していたかと思ったらいきなり家に戻っていたり、次の行には翌日になっていたり、物語中の空間と時間を感じながら読むという感覚が狂わされるからだ。これがアメリカ的な感覚なんだろうか。あらゆる事態が円滑に進んでしまう安易さにも抵抗を感じる。

 訳者あとがきでは、このナンシー・ドルーに対する日本の児童文学として江戸川乱歩の作品を挙げているが、自分たちの世代くらいだとやはりズッコケ三人組という存在は外せない。ハチベエハカセ、モーちゃんという個性的な3人組が活躍する痛快な一連のシリーズは、当時の本好き児童なら誰もが新刊を待ち望んでいた傑作だ。最後にズッコケを読んだのはいつだったか…しかしストーリーの骨格の良さがあり、時間軸が程良く構成され、更には物事の上手く立ち行かないもどかしささえ詰まっていたように思う。同じ児童文学というカテゴリーならば、個人的にはこのシリーズを推したい。

それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

それいけズッコケ三人組 (ポプラ社文庫―ズッコケ文庫)

 結局日本人的な感覚にハマってるということなのかな。海外の児童文学については今後も何か読んでみて、この疑問を解いておきたい。児童文学を読めば各国の人間性が分かる??


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