海堂尊 - チーム・バチスタの栄光

 映画化とか人気の波とか過ぎ去ったところで読んでみる。第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作品。文庫化された方を読んだので、上下巻と別れているのだけど、しかもその上下巻の分け方が上手い。

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

上巻では田口の冷静であくまで常識的な切り口で医療の現場を描写していくのに対し、下巻からは白鳥が登場して物語のカラーがガラッと変わる。前後半の緩急が非常に上手い。(知り合いから借りて読んでいたので、実は下巻を読むのに1ヶ月くらい期間があいてしまった!勿体ない!一気に読みたかった!)

 ただちょっと後半のストーリーが一直線になり過ぎている気もする。白鳥が後半における「神様」として機能してしまっているので、彼の意図したものがそのまま現実になる、という展開が残念。やはりもう一捻り!が欲しいところ。というのは劇中の登場人物も感じている事で

「白鳥さんの、いかにも何でもわかり切っている、という顔が歪むのを、もう一度見てみたかったからかな…」

ええ、個人的にも読みたかったですよ。