恋愛ニセ科学 恋の進化論:くま

恋愛ニセ科学 恋の進化論

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 著書の「くま」さんについて

1977年生まれ。東京都出身。本名熊谷宣子。一浪の末、植物学者&ノーベル賞目指し京都大学へ入学。1回生時、取得単位4単位(植物自然史A,B)。この時点でノーベル賞どころではなくなる。その後、大学院で花の研究。専攻は植物系統分類学。2004年、某通信会社へ入社、福岡へ。人生初の九州上陸。2006年7月から東京に復帰。現在は新橋で働く会社員。2004年から某SNS内で書き始めた恋愛をテーマとした日記が微妙な人気を博し、知る人だけが知る絶妙な存在となる。

 某SNSと言ったら十中八九mixiで間違いないと思う。その某SNSの中で『内輪向けに細々と痛い恋愛コラムを書き始める』ことから始まった恋愛論が人気を集め、1冊の本として出版されたのが本書。「本が好き!」から献本いただきました。

 で、読了。高学歴な著者の「高学歴っぽさ」のにじみ出る恋愛分析は、これまでに無い切り口で面白い。独特なユーモア感と、歯に衣着せぬ物言いにクスリとさせられる場面も。

 ただ「はじめに」で筆者も言っているように、これは恋愛のマニュアル本のような類の物ではない。切り口は面白いけれど、一言でまとめると結構凡庸な事だったりする。結局そういった筆者の巧みな言葉遊びを楽しむ本なのかもしれない。また、本書に登場する女性達は筆者と同じような環境にある三高女(高身長・高学歴・高年齢)ばかりなので、サンプルするデータに偏りが出ているであろうことも注意されたい。多分、書いてあることが全ての女性に共通するものではあるまい。(それは全ての物事について言えるけど)

 ちなみに個人的な事を言えば…そんなに恋愛したいのか?とちょっと引いてしまう部分もある(マジレスで申し訳ないが)。そんなに必死にならなければいけないもんなんだろうか?何のために?人は何の為に恋愛をするのか。それっていうのは高校生みたいなファンタジー恋愛の話ではなくてさ。本書にもあるようにある程度歳食ってくると、男女とも互いに現実的な条件によってパートナーの選定を始める。その条件こそが「何の為に」の答えの鍵となりそうだ。

 だが、与えたいものと求めるものと言うのがお互いに合致しないと良好な関係は成り立たない、ということだけは確実である。本書では全編にわたって、女性側が求める物についての主張が強い。果たして彼女らはその交換条件として何を提出するつもりなのだろうか、そこが本書から読み取れない。だからその一方通行な仮想関係で言葉遊びをやっているのが、気持ちよく読めない部分でもある。


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