- 作者: 森行生
- 出版社/メーカー: ソフトバンク クリエイティブ
- 発売日: 2007/03/16
- メディア: 新書
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裏表紙より。
ゲームオタクに相手にされなかった「ニンテンドーDS」。二流の音響機器と思われていた「iPod」。中年男性以外が買っていた「ヘルシア緑茶」など。最初は失敗作と思われていた商品が、その後なぜヒットしたのか?そのカギは、最初に買う人=イノベータが握っていた。気鋭のマーケターが解き明かす最新ヒット現象の裏舞台!
と、言うわけで「イノベータとはどんな人なのか」を解説してくれるのが本書。全5章に別れており、その内容は以下。
- 第一章 最初に手を出す人たち
- 第二章 ヒットを作る「イノベータ」たち
- 第三章 ヒットの寿命もイノベータ次第
- 第四章 ヒットを狙う企業の戦略
- 第五章 ゲームのルールを変える革命的イノベータ
このイノベーターというのは「イノベータ理論」に基づくものらしく、他にイノベーターの後に続く「アーリーアダプタ」、そして最後に買う「フォロワー」である。
今回も「本が好き!」から頂いた。しかし…残念だけれど、あまりオススメ出来ない。まず全体的に事象の紹介に留まっていて、あまりそこに対する解説、考察がほとんど無い。多少あったとしても、裏付けが弱くて説得力に欠ける印象がある。そもそも第一章で取り上げたDSやiPod、ヘルシア緑茶、環境問題が注目されてヒットした原因は「意外な人に注目されたこと」という結論になっている。イノベータはどうしたの?しかもそれ以降のイノベータの解説にほとんど絡んで来ない。単に本をキャッチーにするための材料だったのだろうか?第一章の必要性がイマイチ分からない。
第二章ではイノベータとマニアは違うとされているが、この分類方法も明確でない気がする。「非コミュはイノベータに成り得ない」くらいしか言っていない。「マニア=非コミュ」だとするなら確かにそうかもしれないけど。
第三章で紹介されているグラフはもう突っ込み所が満載なのだが、
導入~成長期に購入意欲一番高い→イノベータ
成長~成熟期に購入意欲一番高い→アーリーアダプタ
成熟~衰退期に購入意欲一番高い→フォロワー
ってそりゃ最初にそういう風に定義したんだから、そのグラフになるのは当たり前じゃん…うーん。
それでも第四章はちょっとは参考になる。前半は単なるバスマーケティングの紹介だが、後半はイノベータの攻め方、スキミング戦略などが紹介されていて参考になる。ただ最後にペネトレーション戦略で締められており、本書の意図に若干のブレを感じる…と思ったら第五章は本当にイノベータなんて関係なくて、市場のルールを変えてしまえ、という単なる売り方の提案に変わってしまった。
…タダで貰っておいてなんだが、ちょっと不満だ。他の新書と比べても、本自体が薄めだし文字やマージンが大きく情報量が少ない。そんなに本を読むのが早いほうじゃ無い自分だが、30分くらいで読了出来てしまうってどうなのさ…。700円の価値は…無い。筆者の次以降の本に期待してます。
ヒット商品を最初に買う人たち
- 森 行生
- ソフトバンク クリエイティブ
- 735円
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