コクリコ坂より

 さっそく観てきた。宮崎吾朗氏が監督だから親の七光りだから云々…ネガティブな前情報は多めだけど、素直に面白いなぁと思って観た。

gooから引用したあらすじ

東京オリンピック開催を目前に控えた1963年の横浜。女系家族の長女である松崎海(声:長澤まさみ)は高校二年生。父を海で亡くし、仕事を持つ母・良子(風吹ジュン)をたすけて、下宿人もふくめ6人の大世帯の面倒を見ている。そんな海は、同じ高校に通う新聞部の部長・風間俊(岡田准一)に心を寄せるのだが……。

 「宮崎吾朗氏が監督のスタジオジブリ作品」ということ以外殆ど映画の情報を知らずに見に行ったら、登場人物の設定とかで分からない部分が多々発生。でもあんまり深く気にしない性格なので、勝手に脳内補完して追いかける。追いかけられる程度の情報量と、追いかけなくても構わない程度のバランスの良い設定だったと思う。あまりにも説明的になりすぎるのは美しくないよね。

 メル(海)と風間の恋愛物語をベースに、古い物が失われてしまうことの警鐘が、日常の風景だったり、クラブハウスを守る事だったりを通して練り込まれている。でもそういう説教臭いのはあんまり深く気にしない。読み解くことは出来るけど、それは恋愛物語を進める道具で、サブストーリーだ。二人が出会って、お互いに好意を持ち始めて、でも障害があって、疎遠になり、乗り越えて結ばれる。物凄く王道なシナリオで、爽やかなエンディングだ。欲を言えばそれぞれの課程がやや薄味かなとも思う。ストレートに悪く言えばメリハリが無く退屈。でもそれをあまり意識しなかったのは、美しいアニメーションの力だろうか。また振り返って考えてみれば極めて抑えた表現にこそ、むしろ現実味があるようにも思う。じわりと現れてくる二人の気持ち。そんなわずかに匂うような表現が好きだ。

 そんで勿論一人で観に行ったのでネタバレスレを観ながら頭の整理をする訳だが、自分が良いと感じた微妙な淡泊さをどう評価するかで好き嫌いが分かれそう。

 出来ることならあと30分尺があればもっと二人の時間をじっくり描けたのでは無いかと思う。明確な恋愛感情の発露とかそういう表現を避けるとすれば、あとは二人で過ごした時間が単純に長くなればそれで良い。会話の雰囲気の変化とか、口に出さなくても伝わる意志…そんな場面があれば!

 あと個人的に明確にダメだと思ってるのは選曲。前半の選曲は特にダサい。なんか妙に「楽しい」だけの曲がバンバン流れるのはどうなの。絵的には物凄く抑えた表現になってる筈なのに、時々音楽が邪魔するの。あれは良くない。安っぽい。

 でも全体的には好きです。(←落として上げると最終的な印象はポジティブになる術)