- 作者: 栗山民也
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: 新書
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舞台演出家の栗山民也さんの著書。以前観に行った栗山さん演出の「かもめ」は個人的にはあまり楽しめなかったけれど、この本は興味深い。(理論だけが面白くて結果が微妙ってのは、理論にも疑う所があるのかもしれないが…)舞台演出ということ仕事に興味が無くても、先日のエントリ内で言及した「発信力」に興味があれば一読の価値あり。というのも、「発信力 頭のいい人のサバイバル術」を読んでこの本に書いてある事と似ているなーと思った部分が多々ある。
目の前にあるモノを見ること、聞くことという当たり前の行為を、もう一度繰り返してみることが必要でしょう。教えられることを、ただじっと待っているのではなく、すでにわかっているつもりのことでも、新たに自分で見て、聞いて、そのとき感じたそのままを判断する「自分だけの視点」を獲得しなければなりません。
何を見、何を聞くのか。見ようとしない人間には何も見えないし、聞こうとしない人間には何も聞こえてはこない、ということを今一度、自分自身に強く課すのです。
特にこの二カ所は情報に接する日常的な心構えという部分で共通する。
演出家と名のつく人々は演劇や舞台の領域で活躍しているけれど、考えて見れば表現の場とは演出の場、とも言える。ブログで文章を発信することも、単純に誰かと会話することも、そこに伝えたい事があればその表現方法に演出がある訳で、広い意味で誰もが演出家である。同じ情報でもその演出次第で、読み手聞き手の印象が変わってくる。強い発信力というのは強い演出力に支えられている、と言うことが言えると思う。
その他、栗山さんがどのように演出プランを組み立てるのか、そのプロセスとポイントが読める。物語の読み方とも言える話で、これも参考になると思う。