アメリカン・スナイパー

 クリント・イーストウッド監督が好きなのです。この映画の予告を映画館で観た時からずっと観たかった、アメリカン・スナイパー。予告以外の情報を全く入れずに観に行った。すばらしい映画。密度が高い。集中が途切れることなくエンディングまで一気に観てしまった。

 この映画を戦争を肯定するか、否定するか、どちらも読み取れるという事でアメリカでは色々あるようだけど(Wikipediaで読んだ)、その多層性が特にスゴイと思った。表面的には伝説的なスナイパーが敵をバシバシと狙撃し、国を守り、仲間を守り、時に仲間を失って仇討ちに燃え…とヒロイックな見せ方もされている。が、そのシーンをつないでいる家族や仲間とのシーンがあることでスゴイ深みが出ていた。あらゆるシーンにメッセージが隠れているようだ。

 戦争へ行ってPTSDになるっていうテーマ自体はよくあるけど、この映画はなんか派手すぎにしない所がいい。エンタメ的にボロボロ泣かせたりして、苦悩で感動のシーンを演出することもできるんだけど、それをしない。そこが良い。そこが好きなのだよクリント・イーストウッド。語りすぎないかっこ良さ。これ。あんまりベラベラやらない所がとにかく良い。説明し過ぎないからこそ、解釈の多様性が生まれる。素晴らしい。うまく言えない。とにかく満足した。

 話の本筋とはあんまり関係ないんだけど、戦場を飛び交う銃声の演出が素晴らしく、没入感へ大きく寄与していたと思う。映画館のサラウンドで是非是非体験して欲しい(アカデミーで音響編集賞を獲ってた)!それとシーンをつなぐのにヘリのプロペラ音を先行させたり、精神的な不安の演出で不快なノイズっぽい音が入ってたりと、この辺の音声的な演出もすごいと思った!ゼロ・グラビティの時も思ったけど、映画の没入感は音で作られるものらしい。

これも好き。