不思議惑星キン・ザ・ザ

 ネットで評判良かったやつ。レンタルで見た。全体にゆるーい感じ。そしてざっくり流行りの言葉で言えば異世界転移。異世界転移して、謎の文化の人々と謎めいた交流をするという…。「クー」「キュー」であらゆるコミュニケーションをする不思議な文化。でも不思議なのは地球人にとってであって、向こうからしたら地球人こそが謎の文化の人なのだよね。そのへんのいびつなやりとりと、結局その土地の文化に合わせる地球人。んでそこで地球の文化で無双するわけでもなく、いろんなものを奪われながら必死に冒険するという。いや、でも無双という状況じゃないど、マッチとヴァイオリンがあったか。やはり異世界人との交流においては、価値観の相違によって危機を乗り切るというのが鉄板だということだ。とにかく全体にゆるくて、雑な特撮風にも関わらず、設定がきちんと考えられてて破綻が無い(ように思う)。演出もけっこう格好良い。超テクノロジーの演出とか特に。瞬間移動とか、あっさり見せるところなんて最高。エフェクトもりもりのぎゅーんばーんびかー!!!みたいな映像的見せ所にも関わらず、音もなくサクッと見せる。すげぇ、逆に新しさすらあるよ。やっぱり新鮮だとか面白いとか、そういう感情はいい意味で裏切られた時に生まれるんだろうなぁ。そんでこれがソ連時代の映画だという事がさらに深みを与えてるってことだよね。プリュクという謎の砂漠の惑星が社会主義ソ連?社会の状況とか身分制度とかそういうのを反映しているに違いない。そんで物語後半に出てくる美しい緑の惑星もそういうことに違いない。資本主義的な。んで、結局おじさんが最後に選ぶものは…という。ゆるそうに見えて社会風刺がちゃんと効いてるというのがこの映画の人気なのだねぇ。たぶんねぇ。んでもそういう政治的な読み方とは別に、雰囲気がなんか好き。なにあの音楽。気の抜けた感じ。すごい。