お金はややこしい

 突然空から降ってきた大金を手にしてしまう幼い兄弟。狡猾な兄と信心深い弟。色彩豊かな映像や表現が綺麗。

以下ネタバレ有り


 心の腐った私には弟が望む教科書的な理想が美しいとはどうしても思えない。偶然手にした大金とは言え、自分がその恩恵を受ける前に貧しい人々に分け与えてしまう弟。勿体ないと思い、また憎らしくさえある。だが兄にも共感できない。金で友人を作り、資産運用してさらに増やそうとする兄*1。そういう使い方にも共感できない。やはり気持ち悪い気がする。

 自分なら…という疑問に明確な答えが持てないまま物語が進み、遂に父親にばれる。父親は「警察に届ける」という。そっか、これが大人の正解だよな、と内心父親の発言と行動にホッとした。したのだが…結局事件が起きて不幸を受けた父親は突然「自分のものだ!」と主張を始める。もうわけが分からない。

 結果的に外的要因によって強制的に解決に向かうので、誰の答えでもなくエンディング。最終的に「砂漠に井戸を作る」という弟の理想が実現してハッピーエンドになったけれども、どこかスッキリしない。

 「お金はややこしい」という母の台詞が印象的。偶然得た大金を弟のように奉仕に使うことは美しいが、あくまでそれは理想。果たしてその時にどう行動するのかは分からない。ややこしいので警察に届けるのが一番だが。というか拾いものならそうすべき。じゃあ宝くじが当たったりしたらどうすっかな…。


という取らぬ狸の皮算用

*1:あの年齢で普通こんなこと思いつかないだろ、常識的に考えて…