まんが道

 

まんが道 1 (GAMANGA BOOKS)

まんが道 1 (GAMANGA BOOKS)

 

 まんが道を読み終わる。気持ちの熱くなる漫画だった。
 小学校3年生だったか、その頃に好きなテレビ番組はなに?と先生がアンケートを取った。その時「ドラえもん」と挙手して意見があった仲間とドラえもん好きのグループを作った。なんであの時「ドラえもん」だと答えたのかはあんまり覚えていない。確かなのは別にそんなに好きじゃなかったって事。たぶん人とは違うこと言いたくなって「ドラえもん」って答えたに違いない。そんなに違うことじゃなかったけど。多分先生が提示しなかった番組だったんだろう。「私はこんな番組知ってます」的な感じで鼻息荒く主張したに違いない。自分はそういう奴だったはずだ。
 しかし結局そこでドラえもんだと主張したことで、自分の中でスイッチが入って本当にドラえもんが好きになった。毎月500円くらいしかもらえない小遣いで、てんとう虫コミックスを少しずつ買い集め、必死に45巻揃えた。大長編も同時に集めたり、時には寄り道してウメ星デンカを買ってみたり。全部揃えたら次はパーマンエスパー魔美か、なんて考えたり。初めて自分の小遣いで映画を見に行ったのは創世日記だった気がする。ドラえもんが自分の中の哲学を作ったと思う。わりとマジな話。中学生の頃にエヴァにハマったけど、その下地はドラえもんが作った。
 そんなわけで藤子・F・不二雄先生は自分の中で非常に尊敬すべき存在だった。亡くなられたニュースを祖母の家でみたときの、あのなんとも言いようの無いポッカリと空虚な気持ちになったことは忘れない。
 ふー。なんだか固いな。でも藤子不二雄に関してはちょっと熱くなってしまうね!

 満賀と才野の作品作りのいいなぁと思うところは、「面白い漫画が書きたい!」って情熱。誰かに読んで貰いたいとか、伝えたいことがあるとか、ましてや金や名声の為でもなく、とにかく面白い漫画を書きたいだけ。それが良い。自分が面白いと信じた事がやり続けられて、仕事になって、きちんと評価もされる。ものすごく幸せなめぐり合わせだと思う。確かに初期には「読者に向いてない」なんて話もあったけど、やがて自分たちの信念が世の中に認められていく。羨ましいことだ。