「時間ですよ」を作った男 久世光彦のドラマ世界:久世氏を理解するにはもうひとつ足りない


 自分は「時間ですよ」をリアルタイムに見た記憶が無い。時間的に小さい頃には放送されているはずなのだけれど記憶にない。しかし「時間ですよ」と言えば、見た記憶の無い自分でも番組名は知っているくらいの「伝説的」な番組だろう。ちょっとwikipediaで調べてみると、この番組に出演して今も大活躍しているタレントも多々存在していて、その影響の大きさというのを感じずにはいられない。

さて今回はそんな番組を産み出した久世光彦氏を知る本である。例によって「本が好き!」からいただきました。

「時間ですよ」を作った男―久世光彦のドラマ世界

「時間ですよ」を作った男―久世光彦のドラマ世界



 当時の番組をリアルタイムに見ていた世代にはかなり面白い内容になっているのでは。基本的には著者である加藤義彦氏の解説によって「時間ですよ」他、「寺内貫太郎一家」などの番組が生まれていく過程が語られる。その所々に久世氏のコメントが挿入されて、その番組にかける久世氏の思いというものを窺い知ることができる。

 残念ながら、確かに久世氏のコメントが取り上げられているものの、その人間性を理解するには少し分量が少ない。チョイスも微妙な気がする。また番組を知らない世代の我々には、いまひとつ気持ちが入っていかない作りになっているのでは?というのも番組とリンクした語りになっているため、番組への思い入れの無い自分にとっては少々退屈である。

 Amazonのレビューにもあるが「ノスタルジー」が本書の重要なポイントになっている。彼のドラマと育ってきた人にはオススメ。


「時間ですよ」を作った男―久世光彦のドラマ世界

  • 著:加藤 義彦
  • 出版社:双葉社
  • 定価:1575円
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