考えると不安になる人

 その友人とは高校の部活で出会った。出会ったその頃は、彼と自分との差はそれほど無かったかのように思う。そんな彼とは高校を卒業してから、たいした接点もなく過ごしてきたのだけれど、彼のブログだけは時々読んでいる。向こうはそれを知っているのかどうか分からないけれど。
 彼の文章は凄い。圧倒的な知識と語彙、含みをたっぷりと持たせた言い回し、それでいて主張が強く、読んでいて不思議と納得させられてしまう、説得力。読んでいて面白くって、正直悔しい。

 そして、その彼が言及した本の書評が筆者の目にとまり、次回作の中で引用されることとなる。(引用されたのは彼だけでは無いようだ、書評に対して回答していく、という内容の企画だったのでその一つとして)そのことは本当に尊敬せざるを得ない。実際に書店で売られる本に引用される、ということは文章にそれだけの強度を持っている証明だ。

 しかしそんなにも才能ある文章を生み出せる彼だけれども、文系の大学を卒業して、技術者になった。一方理系大学を卒業して、クリエイティブの末端にいる自分…。才能ある彼が、出版だとか報道だとか、本当は選びたかった道に行けずに技術者として働いている、そういう厳しい競争があるにもかかわらず、たいした力があるかどうかも分からず、夢見がちに、今ここにいる自分。

本当に、この先は半端な気持ちではいられない。