一人寂しくさくらん観たよ

 安野モヨコ原作による映画。監督の蜷川実花と言えば、写真家として活躍中だが、あの日本を代表する演出家、蜷川幸雄の娘としても有名である。蜷川幸雄はどんな子育てをするのかなぁ…家事に積極的に参加するタイプなのか、仕事に一生懸命で家庭をほったらかしにするタイプなのか…?何にせよ蜷川実花がこのような形で世に出てくると言うことは、父の影響を受けていることは間違いない。

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 そしてその影響なのだろうか、蜷川幸雄ばりの色彩美に富んだ映像が最も見所のフィルムになっている。花魁の纏う衣装は勿論のこと、建物からちょっとした小物まで色彩的な気遣いが感じられ、吉原という特殊な空間が特殊な空気で満たされている。流石写真家。そう言った画面作りの色彩バランス、効果について熟知している。
 時々挿入されるロックなBGMも面白い。単なる時代物に終わらせないという意図、花魁でありながらも男性に遊ばれるだけでない強い女性の意志ががハッキリ出ていて、また土屋アンナもその意志を明確にするのに一役買っている。あの挑戦的な魔女のような視線!素晴らしいです。

 しかしちょっと芝居に難アリといった感じもする。花魁風の芝居を方向として持っているのだけれど、ちょっと色付けが甘いような?不自然さが目立つ箇所もちょこちょこと。(夏木マリの演技は別格に素晴らしかった)ただこの作品も場合、映像の力で押し切ってしまえる力があると思うので、トータルでは結局これで問題無いのかも。

 紅色と土屋アンナが刺激的なフィルムでした。