パリよ、永遠に

パリよ、永遠に(字幕版)

パリよ、永遠に(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/02
  • メディア: Prime Video

 パリは燃えているかを観てコルティッツ将軍とノルドリンク総領事の話面白そうだなーって思って、ここにフィーチャーした映画ないのかなって探したらすぐ見つかった映画。早速TSUTAYAプレミアムを利用して借りてきたものの、アマゾンプライムで無料公開していた。こういう事があると大変に悲しい。サービスが連携して、TSUTAYAでDVDを借りようとすると、他の配信サービスで観られますよ!みたいな告知を入れるべきだ。そしたら該当の配信サービス利用者は、じゃあこの映画は配信で観るとして、TSUTAYAでは違うのを借りましょう、って話になる。たくさん映画を観ることができる。ひいては映画産業が盛り上がり、エンタメは生活インフラと同等の価値を持ち、配信サービスもTSUTAYAも生活必需品になり、株価も連日ストップ高になって会社が潤い、もちろん社員にも特別ボーナスがバンバン支払われるようになり、なおかつ労働環境も改善されて、若者にもお金が配分されるようになり、安心して結婚や子育てができる社会になって、人口減少にも歯止めがかる。とにかくあらゆる社会の問題が解決されるはずなのだ。そんなわけあるか。

 話自体にめちゃくちゃ爽快な展開があるかといえばそうではなかった。結構地味な印象。ドイツの将軍であるコルティッツが、パリの破壊に妄信的になってる!みたいな状態から改心させるという話ではない。そもそもコルティッツはパリの破壊にやや後ろ向きなところがあり、ただ戦時下の命令としてやむなくそれを受け入れざるを得ない、というような状況。そんなところにノルドリンクが説得にやってくるので、なるべくしてパリを守るという判断に決着した感じ。もうちょっとエンタメに味付けする方法はあったと思うのだけど、史実だしナイーブな問題なのかもしれない。

 DVD借りて損したぜ!みたいな話をグチグチやった気がするが、良かったところもある。特典映像に入っていた試写会のトークが良かった。
www.cinematoday.jp

 上記のイベント内容が収録されている模様。この中の話で「ドイツ軍とナチスは違う」という話があり、これは新しい知識だった。という話からネットで色々調べていたら面白い。

wikipedia:ドイツ国防軍
wikipedia:清廉潔白な国防軍
wikipedia:親衛隊 (ナチス)
wikipedia:ゲシュタポ
wikipedia:ナチス・ドイツ
wikipedia:国家社会主義ドイツ労働者党

 ナチスって第二次世界大戦のドイツの事を指しててるような、ざっくりとした理解をしていたけれど、そういえばナチスはナチ党のこと。ナチ党の党内組織としての親衛隊(SS)で、ドイツ国防軍とは違うもの!この辺の知識については是非整理して勉強しておきたい。ちなみに上記の記事によれば、組織として別物とはいえ、ナチズムに一部加担していた部分もあったようで完全に別物とは言えないようだ。とはいえ、国防軍全体としての方向性ではないようだ。複雑。議論があるらしい。

 あと試写会の記事の中でも取り上げられていたが、

 磯村はまた、20年から30年前の日本の輸出がどんどん伸びていた頃、経済ばかりが目立ち、日本の文化が認知されていなかったがゆえに、オランダのある新聞が「もしある日、日本列島が海中に没しても世界で涙を見せるものはいないであろう。だが、パリなら誰もが涙するであろう」と辛口の日本評を述べていたことも触れた。「でも、今はだんだんお寿司が好きな人が増えてきたり、日本のポップカルチャーが世界中に浸透してきたりしてきた。『文化こそ最大の安全保障』という梅棹さんの言葉が今になって生きてくる」と笑顔を見せた。

 主張したいところは「文化こそ最大の安全保証」って話なんだろうけど、オランダの新聞の論説がいかにも白人至上主義、差別主義的でクソ野郎。イラッときましたね。パリをそのように評するのは、ヨーロッパという地続きで、昔から戦争しまくったり、血縁関係者を結婚させたりして仲間になったり、そもそも同じ帝国の一部だったり、文化の交流があるオランダとフランスだからです。逆に言えばその当時のアジアの人々にとってはパリが吹っ飛んでもピンとこない人もいるでしょうに。どの国にも失われてはならない文化があり、歴史があるのです。